ルポ年金官僚 政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録
戦中から始まる年金政策に携わってきた年金官僚の試行錯誤と、それをかき回す政治や世論の歴史についてのノンフィクション。
どちらかと言えば官僚の目線に立って書かれている印象で、上に述べたように政治家などは選挙のタイミングなどで好き勝手に物事を言い換えたり、官僚の設計とか計画を乱してくる面倒な存在として登場しがち。
特に民主党が政権を取った時の運営の稚拙さって改めて知ると相当で、官僚もはらわた煮えくりかえってたんだろうなというのがヒシヒシと伝わってくる。また、官邸が官僚の人事権を握ることで、官邸主導の色が強くなったのって第2次安倍政権の頃という印象ではあるのだが、その先鞭をつけたのって民主党政権だったんだよな、みたいなことも思い出させられる。
民主党政権の評価って安倍晋三がことあるごとに連呼していた「悪夢の民主党政権」みたいな雑なラベリングだけで終わりがちだけど、具体的に何がどう駄目だったのかみたいな話は改めて社会の共通認識としてまとめられるべきかもとも思った。別にそれによって民主党の流れを汲む政党がすべからく政権を担うにふさわしくないみたいな結論にしようって話ではなく、歴史の積み重ねとして。立憲民主党が選挙の際に耳ざわりのいい話ばかりするのに抑制的になっていることへの理解も進むかもしれないし。
また、官僚目線だからと言って、なんでもかんでも官僚のやってることが正しかったという論になっているわけでももちろんなくて、官僚が天下り先となるような機関や施設を自分達で作り、それらの運用が失敗してきたことだったり、そのツケが後々どう響いたのかなども書かれている。
とはいえ年金のような複雑な制度が日本にもたらされたり、改正される時の官僚たちの熱量とか苦労を知ると一定の敬意は払われるべきだよなとは思う。
終章にもろもろの改革が進んだ現在の年金において上手く行ってる点などがまとめられているあたりで、そういえば老後2000万円問題の騒ぎ以降は年金の話って、政局の槍玉にあまり上がらなくなってきているなとも思ったのだけど、今は消費税率の話であるとか、年収の壁の話みたいなあたりに取って代わられているだけで、そんなに社会保障の重要性みたいな理解は進んでいないような気もしてしまった。
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